こんにちは、「民事再生ドットコム」のブログを執筆している司法書士の久我山左近です。
「個人再生をしたいけれど、これまで積み立ててきたNISAは解約しなければならないの?」
「新NISAで投資信託を保有していると、個人再生できない?」
将来のためにコツコツとNISAで資産形成をしている一方、カードローンやクレジットカードなどの返済が苦しくなり、個人再生を検討する方もいるでしょう。
結論からいうと、個人再生をしてもNISAを必ず解約・売却しなければならないわけではありません。
ただし、NISAで保有している株式や投資信託は原則として本人の財産です。そのため、個人再生では「清算価値」に
算入され、保有額によっては毎月の返済額や最終的な返済総額が増える可能性があります。
今回のブログでは、旧積立NISAや新NISAを利用している方が個人再生するとどうなるのか、清算価値との関係やiDeCoとの違いまで、司法書士の久我山左近がわかりやすく解説いたします。
この記事を読むと正しい知識を身に付けることができますので、ぜひ最後までご覧になってください。
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個人再生をしてもNISAは原則として残せます!


まず押さえておきたいのが、個人再生=財産をすべて処分する手続きではないということです。
自己破産では、一定以上の価値がある財産が換価・処分の対象になることがあります。
これに対して個人再生は、裁判所を利用して借金を大幅に減額し、原則3年、事情によっては最長5年で返済していく
手続きです。
そのため、
- 自宅
- 自動車
- 預貯金
- 生命保険
- 株式
- 投資信託
- NISA口座の金融商品
などを保有したまま個人再生できるケースがあります。
したがって、「個人再生を申し立てる前にNISAを全部売却しなければならない」というわけではありません。
ただし、財産を残せる代わりに重要になるのが、次に解説する清算価値保障原則です。
NISAは個人再生の「清算価値」に含まれる
個人再生には清算価値保障原則という重要なルールがあります。
簡単にいえば「自己破産した場合に債権者へ配当されると見込まれる財産価値以上は、個人再生でも返済しましょう」という考え方です。
そのため、個人再生では預貯金や保険、自動車、不動産などとともに、保有している株式や投資信託などについても
財産として評価する必要があります。
NISAは税制上の優遇制度であり、NISA口座に入っているから財産ではなくなるわけではありません。
新NISAも旧つみたてNISAも基本的な考え方は同じ
2024年から始まった新NISAには、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があります。
また、2023年までの旧つみたてNISAや一般NISAで購入した商品を、そのまま保有している方もいるでしょう。
個人再生では、基本的にどのNISA制度を利用して購入したかではなく、申立人が現在どれだけの財産価値を持っているのかが問題になります。したがって、新NISAのつみたて投資枠で購入した投資信託であっても、成長投資枠で購入した株式であっても、原則として清算価値の対象になります。
NISAは購入金額ではなく「現在の価値」が重要
たとえば、これまでNISAで200万円を投資していたとしても、個人再生で必ず200万円と評価されるわけではありません。株式や投資信託は価格が変動するからです。
200万円で購入した投資信託が値上がりして250万円になっていれば、その時点の評価額が問題になります。
反対に値下がりして150万円になっているのであれば、購入時の200万円ではなく、基本的には現在の時価を基準として評価していくことになります。
実際の評価時点や提出資料、財産の評価方法については裁判所によって運用が異なる場合があるため、申立てを行う地域の運用を確認することが重要です。
NISAが多いと個人再生の返済額が増えることがある
ここが今回の記事で最も重要なポイントです。
たとえば、住宅ローンを除く借金が500万円あるケースを考えてみましょう。
小規模個人再生では、法律上の最低弁済額だけを考えると、500万円の借金であれば原則として100万円が一つの基準になります。
しかし、
- NISA……200万円
- 預貯金……30万円
- 保険の解約返戻金……20万円
などがあり、仮に清算価値の合計が250万円になるとしましょう。
この場合、最低弁済額100万円 < 清算価値250万円となるため、原則として100万円だけ返済すればよいということにはなりません。
清算価値保障原則との関係から、少なくとも250万円以上を返済する再生計画が必要になる可能性があります。
つまりNISAは、「個人再生をすると没収される財産」ではなく、「保有していることで個人再生後の返済額が増える可能性がある財産」と理解するとわかりやすいでしょう。
NISAを解約して現金にすれば清算価値から外れる?
「それなら個人再生の前にNISAを売却してしまえばいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、売却しただけでは基本的に解決しません。
NISAの投資信託200万円を売却して銀行口座に200万円が入れば、「投資信託」という財産が「預貯金」という財産に変わっただけだからです。
さらに注意したいのが、個人再生を考えている段階で、そのお金を特定の債権者だけへの返済や不自然な財産処分などに使用するケースです。申立て前の財産処分について説明を求められることがありますし、内容によっては清算価値や手続きに影響する可能性があります。
「個人再生するから、とりあえずNISAを全部解約して使ってしまおう」と自己判断するのは避けた方がよいでしょう。
個人再生中もNISAの積立を続けられる?
NISA口座を保有することと、個人再生中に毎月新たな積立投資を続けることは分けて考える必要があります。
個人再生では、再生計画に基づいた返済を継続できるだけの安定した収入と家計収支が必要です。
借金を減額してもらう一方で、毎月数万円を投資に回していると、「その金額を債権者への返済に回せるのではないか?」という問題が生じることがあります。
もちろん、NISAを利用しているだけで個人再生が認められないという単純な話ではありません。
しかし、個人再生を申し立てるのであれば、新規の積立を継続するかについては弁護士や司法書士などの専門家と相談し、家計収支を踏まえて判断することが重要です。
NISAとiDeCoは取り扱いが違う
NISAと混同されやすいのがiDeCoです。
どちらも老後などに向けた資産形成に利用されますが、個人再生では性質が大きく異なります。
NISAで保有する株式や投資信託は、原則としていつでも売却できます。そのため、通常の金融資産として清算価値に算入されます。
一方、iDeCoは老後の所得確保を目的とした私的年金制度で、原則として60歳まで資産を引き出せません。また、確定拠出年金法には給付を受ける権利について差押えを禁止する規定があります。
そのため、個人再生における財産評価では、NISAとiDeCoを同じように考えるべきではありません。
「NISAも老後のためのお金だから大丈夫だろう」と考えるのは注意が必要です。
NISAを持っているなら個人再生前に確認しておきたいこと
NISAを利用している方が個人再生を検討する場合には、まず証券会社の口座を確認して、現在の評価額がいくらなのかを把握しましょう。
さらに、預貯金、生命保険の解約返戻金、自動車、不動産、退職金見込額など、清算価値に関係する他の財産も合わせて確認する必要があります。
NISAだけなら100万円でも、その他の財産を合わせると清算価値が300万円になる、といったケースもあります。
特に住宅ローン特則を利用して自宅を残したいケースでは、借金額だけを見るのではなく、財産全体と再生後の返済可能額をセットで検討することが重要です。
まとめ|NISAは残せる可能性があるが清算価値に注意!
個人再生をしても、旧つみたてNISAや新NISAを必ず解約しなければならないわけではありません。
自己破産とは違い、NISAの商品を保有したまま個人再生できる可能性があります。
一方で、新NISAのつみたて投資枠・成長投資枠や旧NISAで保有している株式・投資信託は、原則として本人の財産です。そのため、清算価値に算入され、NISAの評価額が大きければ個人再生後の返済総額が増える可能性があります。
重要なのは、「NISAを残せるか?」だけではなく、「NISAを残した場合に清算価値がいくらになり、個人再生でいくら返済する必要があるのか?」という視点です。
また、申立て直前にNISAを売却したからといって財産がなくなるわけではありません。売却や積立停止などを自己判断で行う前に、個人再生に詳しい専門家へ相談することをおすすめします。
借金の金額、NISAの評価額、その他の財産、住宅ローンの有無などを総合的に確認したうえで、「NISAを残して個人再生する方法」と「売却して返済に充てる方法」のどちらが有利なのかを検討しましょう。
それでは、ここまでで今回の記事の「個人再生すると積立NISAや新NISAはどうなる?取り扱いの基準を解説!」というテーマの解説は以上になります。
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それでは、久我山左近でした。












