こんにちは、「民事再生ドットコム」のブログを執筆している司法書士の久我山左近です。
「借金の返済が苦しくなってきたけれど、自己破産は避けたい」
「会社員なら給与所得者等再生を利用できるの?」
「小規模個人再生とは何が違うの?」
このような疑問を持っている方も多いでしょう。
個人再生には、大きく分けて「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」という2つの手続きがあります。
給与所得者等再生の大きな特徴は、債権者の同意がなくても手続きを進められることです。
一方で、給与所得者等再生には「可処分所得の2年分」という返済額の基準があるため、小規模個人再生よりも返済額が高くなるケースがあります。
この記事では、給与所得者等再生とはどのような手続きなのか、メリット・デメリット、小規模個人再生との違いを
司法書士の久我山左近がわかりやすく解説いたします。
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給与所得者等再生と小規模個人再生はどちらがいい?


給与所得者等再生とは?
給与所得者等再生とは、裁判所を利用して借金を減額し、減額された借金を原則3年間で返済していく個人再生の手続きの一つです。
個人再生には、主に次の2種類があります。
- 小規模個人再生
- 給与所得者等再生
「給与所得者等再生」という名称から、会社員専用の制度と思われるかもしれません。しかし、会社員だから必ず給与所得者等再生を選択するわけではありません。会社員や公務員でも、要件を満たせば小規模個人再生を利用できます。
※「給与所得者再生」と呼ばれることもありますが、法律上の正式名称は「給与所得者等再生」です
給与所得者等再生の大きな特徴
給与所得者等再生を理解するうえで、最も重要なのがこのポイントです。
給与所得者等再生では、債権者の同意がなくても手続きを進めることができます。
これは小規模個人再生との大きな違いです。
小規模個人再生では、再生計画案について債権者による書面決議が行われます。
一定数以上の債権者が不同意を示した場合や、不同意を示した債権者の債権額が一定の割合を超えた場合には、再生計画案が認可されない可能性があります。
たとえば、借金の大部分を1社から借りているケースでは、その大口債権者の意向が手続きに大きく影響する可能性があります。
一方、給与所得者等再生では、このような債権者による再生計画案の決議がありません。
そのため、「債権者から反対される可能性が高い」という場合には、給与所得者等再生を検討するメリットがあります。
給与所得者等再生を利用できる人は?
給与所得者等再生を利用するためには、継続的または反復して収入を得る見込みがあり、さらにその収入の変動幅が小さいことが求められます。
代表的なのは、
- 会社員
- 公務員
- 毎月安定した給与を受け取っている人
などです。
反対に、毎月の収入が大きく変動する場合などには、給与所得者等再生を利用できない可能性があります。
また、個人再生そのものを利用するためには、住宅ローンなど一定の債権を除いた借金総額が5,000万円以下であることや、将来にわたって継続的に収入を得る見込みがあることなどの条件もあります。
給与所得者等再生のメリット
それでは、給与所得者等再生には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
メリット① 債権者の同意がなくても手続きを進められる
給与所得者等再生の最大のメリットです。
小規模個人再生の場合、債権者の不同意によって再生計画案が認可されない可能性があります。
これに対して給与所得者等再生では、債権者による再生計画案の決議がないため、債権者の同意を得る必要がありません。
大口債権者がいる場合など、債権者の反対が予想されるケースでは大きなメリットになります。
メリット② 借金を大幅に減額できる可能性がある
給与所得者等再生も個人再生ですから、裁判所から再生計画の認可を受けることで、借金を大幅に減額できる可能性があります。
たとえば、住宅ローンを除いた借金が500万円の場合、最低弁済額の基準だけで考えると100万円となる可能性があります。ただし、「500万円の借金が必ず100万円になる」わけではありません。
給与所得者等再生では、保有している財産や可処分所得などによって、実際の返済額が高くなることがあります。
メリット③ 自宅を残せる可能性がある
個人再生には、一定の条件を満たした場合に利用できる住宅ローン特則(住宅資金特別条項)があります。
住宅ローンについては基本的に返済を続けながら、消費者金融やクレジットカードなどの借金を減額する仕組みです。そのため、「住宅ローンは払えるけれど、カードローンや消費者金融まで返済するのは難しい」という人にとっては有力な選択肢になります。
自己破産をすると自宅が処分される可能性がありますが、個人再生なら住宅ローン特則を利用することで、自宅を残しながら借金問題を解決できる可能性があります。
メリット④ 原則として財産を処分する必要がない
個人再生では、自己破産のように財産を処分して債権者に配当することを基本とする手続きではありません。
そのため、自動車や預貯金、保険などの財産を所有したまま手続きを進められる可能性があります。
ただし、財産が多い場合には注意が必要です。個人再生には清算価値保障原則があり、自己破産した場合に債権者へ
配当されると考えられる財産価値以上の金額を返済する必要があります。
つまり、「財産を持っているから個人再生できない」とは限りませんが、「財産が多いほど返済額が高くなる可能性がある」ということです。
メリット⑤ 自己破産のような資格制限がない
自己破産では、破産手続中に一部の資格や職業について制限を受ける場合があります。
個人再生には、自己破産のような資格制限はありません。
そのため、資格や職業への影響をできるだけ避けながら借金を整理したい人にとってもメリットがあります。
給与所得者等再生のデメリット
給与所得者等再生には多くのメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。
特に重要なのが、小規模個人再生より返済額が高くなる可能性があることです。
デメリット① 可処分所得の2年分以上を返済する必要がある
給与所得者等再生では、返済額を決める際に「可処分所得の2年分」という基準があります。
大まかにいうと、収入から税金や社会保険料、法律上定められた生活費などを差し引いた金額を基準として、その2年分を計算するという仕組みです。
給与所得者等再生では、主に次の基準を確認することになります。
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 最低弁済額 | 借金総額に応じて決まる最低限の返済額 |
| 清算価値 | 保有している財産などを基準に計算 |
| 可処分所得 | 可処分所得の2年分を基準に計算 |
これらの基準を満たす返済額を設定する必要があります。
具体例で比較してみよう
たとえば、借金が500万円ある人について、
- 最低弁済額……100万円
- 清算価値……120万円
- 可処分所得の2年分……200万円
だったとします。この場合、給与所得者等再生では、200万円が返済額を決めるうえで重要な基準になります。
一方、小規模個人再生には「可処分所得の2年分」という基準がありません。そのため、同じ人でも小規模個人再生を選択できれば、給与所得者等再生より返済額を低くできる可能性があります。
これが、会社員でも小規模個人再生が選ばれる大きな理由の一つです。
デメリット② 収入が安定している必要がある
給与所得者等再生では、単に収入があるだけではなく、その収入の変動が小さいことが求められます。
そのため、収入が毎月大きく変動する場合などには利用できない可能性があります。また、再生計画が認可された後も、原則3年間にわたって返済を続ける必要があります。
そのため、「減額後の借金なら無理なく返済できるか」という点も重要になります。
デメリット③ 信用情報に影響する
給与所得者等再生をすると、信用情報機関に事故情報が登録され、一定期間、新しいクレジットカードやローンなどの審査に影響します。一般的には「ブラックリストに載る」と表現されますが、実際にブラックリストという名簿が存在するわけではありません。
信用情報に事故情報が登録されることで、
- クレジットカードの新規作成
- カードローン
- 自動車ローン
- 住宅ローン
- スマートフォン端末の分割購入
などの審査に影響する可能性があります。
デメリット④ 官報に掲載される
給与所得者等再生を含む個人再生では、手続きの過程で氏名や住所などが官報に掲載されます。
ただし、一般の人が日常的に官報をチェックしているケースは多くありません。そのため、官報に掲載されたからといって、必ず会社や知人に知られるわけではありません。
もちろん、絶対に知られないと保証できるわけでもないため、その点は理解しておきましょう。
小規模個人再生と給与所得者等再生の違い
最後に、両者の違いを簡単に比較してみましょう。
| 比較項目 | 小規模個人再生 | 給与所得者等再生 |
|---|---|---|
| 会社員 | 利用可能 | 利用可能 |
| 公務員 | 利用可能 | 利用可能 |
| 債権者の同意 | 一定の不同意があると不認可の可能性 | 原則不要 |
| 可処分所得2年分 | 基準なし | 基準あり |
| 返済額 | 比較的低くなる可能性 | 高くなる可能性 |
| 収入 | 継続的な収入が必要 | 継続的かつ変動が小さい収入が必要 |
| 住宅ローン特則 | 利用可能 | 利用可能 |
この比較からもわかるように、「会社員だから給与所得者等再生を選ぶ」というわけではありません。
会社員でも小規模個人再生を利用することは可能です。
結局、どちらを選べばいい?
小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらを選択するかは、借金額だけで判断することはできません。
特に重要なのは、
- 債権者の数
- 各債権者の債権額
- 債権者が不同意を出す可能性
- 本人の収入
- 可処分所得
- 預貯金などの財産
- 住宅ローンの有無
などです。
小規模個人再生で債権者から不同意を出される可能性が低いのであれば、可処分所得の2年分という基準がない小規模個人再生のほうが返済額を抑えられる可能性があります。
反対に、大口債権者から不同意を出される可能性が高い場合には、債権者の同意がなくても進められる給与所得者等再生が選択肢になります。
まとめ|給与所得者等再生は「債権者の同意が不要」なのが大きな特徴
給与所得者等再生とは、安定した給与などを得ている人が利用できる個人再生の一つです。
最大の特徴は、債権者の同意がなくても手続きを進められることです。
借金を大幅に減額できる可能性があり、住宅ローン特則を利用すれば自宅を残せる可能性もあります。
その一方で、「可処分所得の2年分」という基準があるため、小規模個人再生より返済額が高くなるケースがあります。
したがって、「会社員だから給与所得者等再生」ではなく、「小規模個人再生と比較して、どちらが自分に有利なのか」を検討することが重要です。
個人再生は、借金額だけでなく、収入、財産、家族構成、債権者の構成などによって適切な手続きが変わります。
給与所得者等再生を検討している場合には、小規模個人再生を選択した場合の返済額も含めて比較し、自分に適した方法を検討するとよいでしょう。
それでは、ここまでで今回の記事の「給与所得者等再生のメリット・デメリットとは?詳しく解説します!」という
テーマの解説は以上になります。
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それでは、久我山左近でした。












