こんにちは、「民事再生ドットコム」のブログを執筆している司法書士の久我山左近です。
「借金の返済が難しくなって個人再生を検討しているけれど、iDeCoまで失ってしまうのでは?」
「老後のために積み立ててきた確定拠出年金は、個人再生すると債権者への返済に充てられる?」
このような不安を感じている方もいるでしょう。
今回のブログでは、個人再生すると個人型確定拠出年金(iDeCo)は没収の対象になるのかについて、司法書士の久我山左近がわかりやすく解説いたします。
この記事を読むと正しい知識を身に付けることができますので、ぜひ最後までご覧になってください。
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原則として個人型確定拠出年金(iDeCo)は守られます!


個人再生してもiDeCoは原則として没収されない
個人再生は、借金を大幅に減額し、減額後の金額を原則3年間で分割返済していく裁判所の手続です。
自己破産とは異なり、基本的に財産を処分して債権者へ配当する手続ではありません。裁判所も、個人再生を「財産の清算はせずに」債務の一部について免除を得て残額を分割して支払う手続と説明しています。
したがって、個人再生をしても、iDeCo(個人型確定拠出年金)の資産は原則として没収・処分されません。
さらに、iDeCoは差押えが禁止されている財産に該当するため、一般的には個人再生における「清算価値」にも計上されません。
個人再生をしたからといって、「iDeCoが強制的に解約される」「積み立ててきた年金資産を債権者に渡す」といった
ことになるわけではありません。
特にiDeCoなどの確定拠出年金については、法律上、給付を受ける権利について差押えが原則として禁止されています。
個人再生では「清算価値」が重要になる
ただし、「個人再生なら財産はまったく関係ない」というわけではありません。
個人再生には清算価値保障原則があるからです。簡単にいえば、「自己破産した場合に債権者へ配当できる財産相当額以上は、個人再生でも返済しましょう」という考え方です。
裁判所も、個人再生の返済総額について、債務者が自分の財産を処分して返済に充てる場合の金額である「清算価値」を上回る必要があると説明しています。
例えば、借金が500万円あるケースを考えてみましょう。
法定の最低弁済額が500万円の5分の1の100万円だったとしても、預貯金や保険、自動車などから算出される清算価値が200万円であれば、原則として200万円以上を返済する必要があります。
つまり、財産が多い人ほど個人再生の返済額が増える可能性があるわけです。
iDeCoは清算価値に含まれる?
ここが今回の大きなポイントです。
iDeCoなど差押えが禁止されている確定拠出年金については、原則として清算価値に計上されません。
実際に千葉地方裁判所の個人再生用財産目録でも、確定拠出年金などの差押禁止財産について「清算価値に計上する必要はありません」とされています。
例えば、
- 普通預金:50万円
- 自動車:50万円
- iDeCo:500万円
という財産状況だったとしても、単純に「財産が600万円あるから清算価値も600万円」と計算するわけではありません。
iDeCoの500万円については、通常の預貯金などとは異なる扱いになります。
そのため、iDeCoに多額の資産があるからといって、その金額がそのまま個人再生の最低返済額に加算されるわけではありません。
これは、老後の資金をiDeCoで準備している人にとって非常に重要なポイントです。
iDeCoとNISAでは扱いが大きく違う
iDeCoとNISAを混同しないように注意しましょう。
どちらも投資信託などを購入して資産形成できる制度ですが、個人再生における扱いは大きく異なります。
| 財産 | 個人再生での基本的な扱い |
|---|
| iDeCo | 原則として差押禁止・清算価値に計上しない |
| 企業型確定拠出年金 | 原則として差押禁止・清算価値に計上しない |
| NISA | 原則として財産として評価される |
| 特定口座・一般口座の株式・投資信託 | 原則として財産として評価される |
| 普通預金・定期預金 | 原則として財産として評価される |
NISAには税制上のメリットがありますが、iDeCoのような差押禁止財産というわけではありません。
したがって、NISAで300万円の投資信託を保有している場合、その資産は原則として清算価値に影響します。
一方、iDeCoに300万円ある場合は、基本的に同じ扱いにはなりません。
「投資信託だから全部同じ」というわけではない点には注意しましょう。
iDeCoがあっても裁判所への申告は必要?
「清算価値に入らないなら、iDeCoは申告しなくてもいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、これは避けるべきです。
清算価値に算入されない財産であっても、確定拠出年金を保有していること自体は適切に申告する必要があります。
実際、裁判所の財産目録では、差押えが禁止され清算価値への計上が不要な確定拠出年金についても、その種類などを記載するよう求めている例があります。
個人再生では財産目録や清算価値算出シートなどを提出し、財産状況を裁判所に明らかにします。
「どうせ取られないから書かなくてもいい」という考え方ではなく、財産について正確に申告したうえで、差押禁止財産として適切に取り扱ってもらうことが重要です。
個人再生直前にiDeCoへ資金を移すのは注意
もう一つ注意したいのが、個人再生を予定してからiDeCoへ多額のお金を移すケースです。
例えば、個人再生を検討している人が、「普通預金なら清算価値に入るけれど、iDeCoなら入らない」と考えて、
申立て直前に預貯金から多額の掛金を拠出するような行為です。
通常どおり長期間iDeCoを積み立ててきたケースとは事情が異なります。
個人再生では財産の内容だけでなく、申立て前の財産処分などについて資料の提出を求められる場合があります。
例えば千葉地裁の案内では、過去2年以内に処分・受領した財産に関する資料が必要書類として挙げられています。
そのため、個人再生を考えている段階で、財産を守る目的から資金を動かすことは自己判断で行わず、申立代理人などの専門家に相談することをおすすめします。
すでにiDeCoを受け取っている場合は注意
iDeCoの口座内にある年金資産と、すでに給付を受けて銀行口座に入ったお金についても分けて考える必要が
あります。
例えば、iDeCoから一時金として300万円を受け取り、その300万円が普通預金として残っているケースです。
この場合には、iDeCoの運用資産そのものではなく、すでに受領した現金・預貯金として財産評価が問題になる可能性があります。
「もともとはiDeCoのお金だから、銀行口座に移ってもすべて保護される」と単純に考えるのは危険です。
受給開始後に個人再生を申し立てる場合には、受給状況や現在のお金の保管状況まで含めて確認することが重要です。
個人再生なら老後のiDeCoを守りながら借金を整理できる可能性がある
個人再生は、一定の財産を持っている人にとってメリットのある債務整理方法です。
自己破産とは異なり財産を清算することを目的とした手続ではありませんし、住宅ローン特則を利用できれば、
一定の条件のもとで住宅を維持しながら住宅ローン以外の借金を整理できる可能性もあります。
さらに、iDeCoについても差押禁止財産として原則保護されます。
そのため、「老後のために何年もiDeCoを積み立ててきたので失いたくない」「住宅もiDeCoもできるだけ維持しながら借金を整理したい」という人にとって、個人再生は検討する価値のある手続といえるでしょう。
まとめ|個人再生してもiDeCoは原則として残せる
個人再生をしても、iDeCo(個人型確定拠出年金)は原則として没収されません。
さらに重要なのは、iDeCoなどの確定拠出年金は差押禁止財産であるため、一般的には個人再生の清算価値にも計上されないという点です。裁判所の個人再生書式でも、確定拠出年金などの差押禁止財産について清算価値への計上を不要とする扱いが確認できます。
したがって、iDeCoにまとまった資産があっても、それだけで個人再生の返済額が増えるとは限りません。
ただし、NISAや通常の株式・投資信託は扱いが異なります。また、iDeCoをすでに受給している場合や、個人再生直前に多額の資金をiDeCoへ移した場合などは個別の検討が必要です。
個人再生では財産の種類や金額によって最低返済額が変わる可能性があります。「iDeCoだから大丈夫」と自己判断せず、申立て前にiDeCo・NISA・預貯金・保険・自動車・退職金などを含めた財産全体を確認することが大切です。
それでは、ここまでで今回の記事の「個人再生すると個人型確定拠出年金(iDeCo)はどうなるの?」という
テーマの解説は以上になります。
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それでは、久我山左近でした。












