こんにちは、「民事再生ドットコム」のブログを執筆している司法書士の久我山左近です。
個人再生には、住宅ローン特則という制度があり、住宅ローンはそのままで、その他の借金を大幅に減額するというマイホームをお持ちの方にとってはスペシャルな対応をすることができます。
しかし、この住宅ローン特則の条件に当てはまらない場合はご自身のマイホームを残すことが難しい場合もあります。
今回の記事では、住宅ローンがある場合とない場合での個人再生における不動産の取り扱いについて債務整理に詳しい司法書士の久我山左近がわかりやすく解説いたします。
この記事を読むと、個人再生で自宅やマンションの取り扱いについての正しい知識を身に付けることができますので、ぜひ最後までご覧になってください。
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個人再生で自宅やマンションが残せる?住宅ローン特則について解説します!
債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産の3種類の手続きがありますが、自己破産の場合には一定の財産は処分されてしまいますし、任意整理は借金を減額できる範囲が他の債務整理よりも少ない傾向にあります。
そのため、自宅やマンションを所有している方は個人再生を検討することになると思います。個人再生について調べていると「個人再生をするとマイホームを残せる」と書いていることがよくあります。
確かに個人再生では自宅やマンションを残せることもありますが、手放さなければならないケースもあります。
今回の記事では、住宅ローンがある場合とない場合での個人再生における不動産の取り扱いについて債務整理に詳しい司法書士がわかりやすく解説いたします。
個人再生とは?個人再生の特徴とメリットを解説します。
個人再生とは、借金の総額を約5分の1程度にまで圧縮することを裁判所に認めてもらい、残りの借金を3年程度の分割で支払う債務整理の方法です。個人再生後は、圧縮された借金を支払っていく必要があるため、将来に渡って継続的に収入がなければ裁判所に個人再生を認めてもらえません。
例えば、ご自身に400万円の借金がある場合に普通に5年間で返済するシミュレーションをすると、月々の返済額は約9万5千円になり、完済までにかかる利息の合計はなんと約171万円にもなります。同じ条件で個人再生すると、月々の返済額は約2万8千円まで大幅に減額されて、完済までにかかる利息の合計はゼロ円になりますので、個人再生の借金減額効果がよくわかると思います。
個人再生でマイホームを残すことができるのか?
冒頭でもお伝えしましたが、個人再生では持ち家を残すことができると説明されることが多く見られますが、実は正確な理解ではありません。これは、個人再生の住宅ローン特則「住宅資金特別条項」という制度と関係があり、住宅ローン特則「住宅資金特別条項」は住宅ローンが残っているかどうかで利用できるかが決まります。
ここからは、住宅ローンが残っている場合と残っていない場合に分けて、個人再生でマイホームを残すことができるかを解説いたします。
住宅ローンが残っている場合
住宅ローンが残っている場合には、前述した住宅ローン特則「住宅資金特別条項」が利用できれば、持ち家を手放さずに個人再生を利用することが可能です。住宅ローン特則「住宅資金特別条項」とは、住宅ローンについては従来通りに支払いを続けることによって、所有する持マイホームを手放さずに済む制度のことです。
もっとも、住宅ローン特則「住宅資金特別条項」を利用するには次の条件を満たす必要がありますので注意してください。
- 住宅ローンが「住宅資金貸付債権」であること
要するに一般的な住宅ローンであることです。 - 持ち家に住宅ローン以外の抵当権がないこと
事業融資などで抵当権が設定されていないことです。 - 個人再生をするご自身が所有する居住用の不動産であること
- 床面積の2分の1以上が居住用の面積であること
- 代位弁済から6か月を経過していないこと
保障会社が代位弁済されていた場合です
以上の要件を満たしていれば、住宅ローン特則「住宅資金特別条項」を利用して、マイホームを手放すことなく、ご自身の借金問題の解決が可能です。
住宅ローンを完済している場合
住宅ローンを完済している場合には、マイホームの価値分は「清算価値保障原則」とされるべき財産として計上されるため、手放さないことは実質的に難しくなります。
清算価値保障原則とは、個人再生後の弁済額が自己破産した場合の弁済額以上でなければならないというものです。簡単に言い換えると、個人再生をしたときの方が、自己破産したときよりも債権者に返済する借金が多くなければならない制度と言い換えられます。
つまり、住宅ローンを完済したマイホームがあって、個人再生後も手放したくない場合には、持ち家の価値分の借金を返済をする必要があります。ですから、基本的には住宅ローンを完済したマイホームを所有している場合には個人再生の手続きでマイホームを処分して返済額を減少させなければなりません。
また、マイホームを「清算価値保障原則」に計上すれば、借金の総額よりも多くなってしまうということもあります。例えば、借金の総額が500万円でマイホームの価値が1000万円といったケースになります。このようなケースは100%弁済と呼ばれ、借金額をすべて返済しなければなりませんので、個人再生をするメリットはありません。この場合は任意整理での解決を検討すべきになります。
個人再生ではマイホームを守れない場合には任意整理を検討する
住宅ローン特則「住宅資金特別条項」が利用できない場合には個人再生ではマイホームを守ることができません。そのため、マイホームを守るためには任意整理を検討する必要があります。
任意整理とは、弁護士や司法書士が代理人になり、今後の利息をカットして月々の返済額を減額して3年から5年程度で返済するように相手の貸金業者と交渉する手続きのことです。任意整理の場合は、原則として減額した借金を返済するだけで済みますので、マイホームを手放す必要はありません。もっともご自身の経済状況によっては任意整理ではなく自己破産を検討した方がいいケースもあります。
個人再生と任意整理の違いを解説します
個人再生と任意整理はどのように違うのでしょうか?個人再生も任意整理も、債権者に対する返済を継続する点では同じような手続きです。しかし、任意整理は基本的には元金を分割して返済する必要があるのに対して、個人再生は元金も大きく減額できる点が大きく異なります。また、任意整理はそれぞれの債権者と直接交渉をするのに対して、個人再生は裁判所への申し立てによって民事再生法の適用によって借金を大きく圧縮します。
以下が個人再生と任意整理の違いについての一覧表になります。
個人再生 | 任意整理 | |
裁判所の許可 | 必要 | 不必要 |
圧縮される借金額 | 大きい | 小さい |
手続きの債権会社 | 選べない | 選べる |
マイホーム | 手放すケースもある | 手放す必要はない |
個人再生と任意整理の一番の違いは、手続きをする債権者を選べるかどうかという点になります。任意整理は手続きをする債権者を選ぶことが可能ですので、住宅ローン、自動車などの手放したくない財産がある場合であっても、任意整理の手続きから除外することで手放すことなく所有し続けることが可能です。
また、個人再生は裁判所を通じた手続きなので内容はかなり複雑になりますが、任意整理は裁判所を通さずに個別の債権者と弁護士や司法書士が直接契約を結びますので比較的簡単に手続きが完了します。
それでは、ここまでで今回のブログ「個人再生で不動産はどうなる?自宅やマンションを残せる条件を解説!」というテーマの解説は以上になります。
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それでは、司法書士の久我山左近でした。