こんにちは、「民事再生ドットコム」のブログを執筆している司法書士の久我山左近です。
個人再生の手続きは、ご自身の借金の総額を約5分の1と大幅に減額し、その減額した借金を3年間かけて返済してご自身の借金問題を解決する手続きです。
大きな借金の減額効果がある個人再生ですが、その手続きの一つの種類に小規模個人再生があります。
今回の記事では、個人再生の手続きの中の小規模個人再生にフォーカスして債務整理に詳しい司法書士の久我山左近がわかりやすく解説いたします。
この記事を読むと、個人再生の中の小規模個人再生についての正しい知識を身に付けることができますので、ぜひ最後までご覧になってください。
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実際には90%以上の個人再生の申し立ては小規模個人再生です。
個人再生には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」という2種類の手続が用意されています。
今回の記事では、個人再生の手続きの中の小規模個人再生にフォーカスして債務整理に詳しい司法書士がわかりやすく解説いたします。
小規模個人再生とは
本来は会社を対象としてい民事再生法を個人でも利用できるように設けられた特則が個人再生になります。この個人再生には,「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」という2種類の手続きが用意されています。
個人再生の中でも基本になるのが小規模個人再生の手続きで、給与所得者等再生は小規模個人再生の特則という位置付けになります。小規模個人再生は、小規模の個人事業者を対象とすることを想定してできた制度ですが、実際には給与所得者等再生よりもメリットが大きい部分があることから給与所得者であってもこの小規模個人再生を利用するのがほとんどになります。
小規模個人再生の要件
小規模個人再生は、借金を整理するためには非常に有効な制度ですが、裁判所での手続きなので、小規模個人再生を利用するための条件を充たしている必要があります。
個人再生の手続は、再生手続きを開始させるかどうかという段階と再生計画を認可させるかどうかの2つの段階において,それぞれ要件の審査が行われます。
小規模個人再生の再生手続開始要件
小規模個人再生を利用するためには、小規模個人再生を裁判所に申し立てることになりますが、再生手続き開始の要件としては、申立人が将来において継続的かつ安定して収入を得る見込みがあることがあります。また、申し立てが個人であること、借金の総額が5千万以下であることなどの要件があります。
再生債権者による決議
小規模個人再生の手続きでは、債権者による再生計画案の決議が行われます。この決議において再生計画案が否決されてしまうと、再生手続きは廃止されて認可される前に手続きが打ち切られてしまいます。
以下の場合には、再生計画案は否決されたものとして扱われます。
- 不同意と回答をした債権者が、債権者の半数以上である場合
- 不同意と回答をした債権者の金額が、総金額の2分の1以上の場合
小規模個人再生の再生計画認可要件
小規模個人再生の再生手続きが開始され、債権者による決議において可決されたとしても、最終的には裁判所による再生計画の認可決定をもらわなければ意味がありません。基本的には、これまでの手続きに違法性などがないこと、今後の返済に見込があること、などの要件を満たしていれば裁判所から再生計画の認可が決定されます。
小規模個人再生の効果
小規模個人再生の手続きにおいて、裁判所によって再生計画が認可されると、その再生計画に従って返済をする必要があります。小規模個人再生の再生計画では、借金の大幅な減額と長期での分割払いを定めることができます。
借金の大幅な減額について
個人再生後の最低弁済額は、民事再生法で決められていますので、どのくらいの減額になるかは借金の総額によって異なります。
借金の総額 | 最低弁済額 |
100万円未満 | 全額 |
100~500万円未満 | 100万円 |
500~1,500万円未満 | 5分の1 |
1,500~3,000万円未満 | 300万円 |
3,000~5,000万円未満 | 10分の1 |
借金の総額が100万円未満の場合には借金の減額はありません。また、個人再生の手続きを専門家に依頼すると一般的に50万円以上の費用はかかりますので、個人再生では最低でも200万円以上の借金の総額がないと個人再生のメリットがありません。
ただし、ご自身が所有する財産の価額が最低弁済額を上回る場合には、財産の価額までしか減額できません。これを「清算価値保障原則」といい、例えば借金の総額が500万円の場合に、財産価額が200万円の自動車を所有していれば、最低弁済額の100万円ではなく、200万円までしか減額できません。
減額後の分割払い
小規模個人再生においては、減額された借金を分割払いしていくことになります。分割払いの期間は原則として3年間ですが、事情によっては5年間とすることも可能です。また、支払いのペースは毎月1回が基本ですが、3か月に1度にすることも可能です。
給与所得者等再生との違いを解説します。
小規模個人再生と給与所得者等再生の手続きの流れには大きな違いはありませんが、いくつかの点で違いがあります。
それぞれの手続きの要件における違い
小規模個人再生と給与所得者等再生は,要件が異なります。小規模個人再生と給与所得者等再生のいずれの手続きでも継続して安定した収入があることが求められますが、小規模個人再生では給与所得者等再生ほどの収入の安定性は求められていません。
債権者の消極的同意の要否における違い
小規模個人再生の手続きでは、その再生計画案を認可する決議において、債権者の頭数の半数以上または債権額の過半数以上の同意を得られなければ、再生手続が廃止されてしまいます。ここでの同意とは、消極的同意になり再生計画案に対して積極的に不同意を述べなければいいことになります。
これに対して、給与所得者等再生は債権者による決議が行われませんので、再生債権者の消極的同意は必要ないものとされています。ですから小規模個人再生の場合は、給与所得者等再生と異なり再生債権者の意向によって手続きが左右されてしまう可能性があるということです。少し実務的になりますが個人再生に異議を出してくる可能性が高いのは、楽天や東京スター銀行などの会社になります。
弁済金額における違いを解説します
小規模個人再生の場合には、返済の総額を最低弁済額または自己破産した場合の配当予想額「清算価値保証原則」のいずれか高い方以上の金額に設定する必要があります。そのため、ご自身が価値ある財産を所有していなければ、借金の総額が約5分の1にまで大幅に減額することが可能になります。小規模個人再生の手続きでは、借金の総額を基準として返済の金額が決められます。
しかし、給与所得者等再生の場合には債権額ではなく、申立人が支払える金額も返済総額を決めるための基準に加える必要があります。具体的に言うと、定期収入から税金や生活費を差し引いて返済に充てられる最大限の金額「可処分所得」を算定し、その2年分以上を返済金額としなければなりません。
そのために小規模個人再生の方が給与所得者等再生よりも返済する金額は小さくなることがほとんどになります。したがって、借金を返済する金額から考えると給与所得者等再生よりも小規模個人再生の方が有利になりますので、まずは小規模個人再生を検討することになります。
どのような場合に小規模個人再生を選択するのか?
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生という2つの手続きがありますが、小規模個人再生が給与所得者等再生よりも借金を大きく減額できというメリットがありますので、まずは小規模個人再生を検討するのがベストな選択になります。
しかし、小規模個人再生の場合には、一定数以上の債権者による消極的同意を得られなければ手続きを廃止されてしまうというデメリットがあります。小規模個人再生に反対する業者は少ないのですが、あらかじめ反対する業者がいる場合には、給与所得者等再生の選択を検討する必要があります。
それでは、ここまでで今回のブログ「個人再生手続きの小規模個人再生とは?その特徴とメリットを解説!」というテーマの解説は以上になります。
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それでは、司法書士の久我山左近でした。